高齢者のケガ、コロナ禍の入院

今年の4月に、80歳過ぎの父が元気にデイサービスに通っている話を紹介しましたが、その後ケガが原因で生活が一転しました。

  • 施設の廊下でつまづき大腿部骨折。
    即日、手術。1ヶ月の入院。
    幸い、手術の約2週間後にはリハビリを積極的におこなってくれて、思いのほか快方へと向かっていました(A病院)。
  • 急性期をA病院で1ヶ月間診ていただいた後、元々入居していた施設(サ高住)では対応が無理なため次の施設が見つかるまで、別のB病院へ転院しリハビリのために1ヶ月入院。
  • 受け入れてくれる施設(グループホーム)が見つかったため、B病院へ迎えに行き1ヶ月ぶりに父に直接再会。
    ところが1ヶ月前にA病院からB病院へ転院する時より足の状態も認知機能も明らかに悪化、ボーっと廃人のような雰囲気です。
    どうやら積極的なリハビリではなくベッドに寝たきりになっていたように思われます。
    これがこの後、致命的になってしまいました。

    現在、コロナ禍でどこの病院も施設も家族との面会ができず、患者は家族との交流ができません。
    平常時であれば家族が毎日のように見舞いに通い、リハビリを促し会話で元気にもなります。
    高齢者は1週間入院しただけで足が弱り歩けなくなる人もいると言います。
    この1ヶ月の入院が悔やまれます。
  • 骨折から3か月目、B病院からグループホームへ入居。
    グループホームでは共同作業のもと積極的に話しかけ接してくれるため、入居2日目には笑顔で会話が弾むくらいになったようで、よい兆しが見えました。
  • ところが入居5日目頃、腸閉塞で緊急入院との連絡あり。
    グループホーム入居時から、便通がなくヘルパーさんが気にしてくれていたのですが、食べたものを嘔吐したため、施設のかかりつけ医から総合病院(C病院)に搬送されました。
    後でわかりましたがB病院に入院中から便通がなかったと思われ、胃の中までいっぱいでカチカチ状態だったようです。
    普通ならば本人が腹の具合が悪いことに気づきそうなものですが、病院で寝たきり状態の認知症の患者にはそれを伝えることもなかったのでしょう。
  • C病院でもこれほどまでの腸閉塞はまれだったそうです。
    さらに嘔吐した際に、誤嚥性(ごえんせい)肺炎になってしまいました。
    これがかなり状態が悪くなってしまい、入院5日目頃に「父、危篤、ご家族の方会いに来てください。」という宣告を受け、家族5人で最期のお別れと覚悟して面会に行きました。
    少しですが父は返事をすることもでき、思ったより顔色もよく元気そうに見えたのですが、家族皆「最期」を覚悟し、その翌日から葬儀場の仮予約などを始めました。
  • 3日程経ってもC病院から連絡がなく電話をしたところ、面会に行ってから回復に向かい、「最期」ということはなくなったとのこと。
    葬儀場の仮予約もキャンセルし「さすが親父!」と家族で大笑いできました。
  • その後も快方に向かい「父、危篤」から1ヶ月ほどで晴れてC病院を退院し、リハビリのため自宅に近いD病院に転院。
    ここでは、まず誤嚥性肺炎を繰り返さないように食事がうまく自分でできるようになるかというリハビリと、骨折で歩けなくなった足のリハビリ。
    心配していた食事のリハビリは思いのほか順調で、流動食に近い食事だけでは本人が物足らないくらいで「プリンかヨーグルトを差し入れしてください。」とD病院から連絡があるくらいでした(笑)。
  • D病院でのリハビリで快方に向かい、その間に特別養護老人ホームへ受け入れてくれることも決まり、2ヶ月弱でD病院を退院し特養へ入居しました。
    この特養も地元であるため、私の同級生二人の親御さんも入居されており、親の介護世代を実感しつつも心強く思えました。
  • 特養では病院と異なり入居者同士の交流もあり、話好きの父はすっかり溶けこんで楽しそうにしてくれているようです。
    ただここでもやはりコロナ禍のため面会はできず、しかしリモート面会ができるためお互いに少し安心できそうです。

この7か月間、7つの施設や病院の入退院を繰り返し目まぐるしい日々でしたが、普段仕事で介護施設のシステムをご提案しており、今回は利用者の家族の立場を経験することになり何かと勉強させてもらいました。
父自身も介護の受け方がうまくなったようで、先日入居の際にある場面を目にして微笑ましく思えることもありました。

それにしても施設でも病院でも入退院の際の手続きは、次から次へと書類に目を通して住所や氏名など記入することが多く、老老介護の後期高齢者だとペンを持つことさえままならないことも多く大変だろうなと思うのです。

そして来年は父は特養で落ち着いてくれるのか、あるいは父だけでなく、圧迫骨折を時おり繰り返す母、家内の両親もガンの再発や転移や認知症予備軍という後期高齢者で大変な一年が予想されますが、親のサポートは家族だけでは限界もあり行政の制度などをうまく活用しながら、地域の方や病院や施設の職員の方のありがたさを実感しているところです。

MOR

 

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